3月 2, 2025
指導者講習会(会場:甲南大学)が終了
知識に裏付けられたトレーニング
主体的に取り組むことこそ重要
そして、日本選手に求められること
2月23日に甲南大学で指導者講習会を行い、70名の皆さんが参加しました。
午前の部、最初は升佑⼆郎さん(法政大学)による「一貫指導の再構築」、スポーツ科学を基礎にしたバドミントンのコーチングです。
AIを利用して、バドミントンのプレーがデータ化され、それが視覚化されることで得られる詳細な新しい知識の例が紹介されました。それが現在進行形で進んでいるのです。このような情報を読み取ることも指導者に求められることになるでしょう。特に中心となるテーマは、脳の研究から得られる知識のバドミントン指導への応用、脳の処理の自動化。主体的に練習を積み重ねることにより、脳内の処理は自動化されます。それが2年で達成できるか、1年で達成できるかは、練習の違いによるもの、質の良いものは短時間でそれを可能にするでしょう。量の問題だけでなく、質を高める必要が強調されました。これらの理論は、午後の実技につながっていきます。最後に、台湾、マレーシア、シンガポールでのバドミントン、特にプレーヤーの育成体制の特徴が報告されました。
次は吹田真士さん(筑波大学)。「世界レベルのトレーニングとは?」とのテーマで、プレーヤーが主体的にトレーニングに取り組むことの重要性(自己組織化、スキルの習得・・・)を指摘しました。プレーの状況に素早く、柔軟に対応する身体、賢い身体を作る具体的な練習を午後の部で行うとのことでした。そのために指導者はどのような内容、方法で指導をすれば良いのでしょうか。その一端が午後のオンコート・トレーニングで紹介されます。
最後に中西洋介さん。「日本人世界トップ選手のスキルについて(シングルス)」というテーマです。中西さんは16年もの間ナショナルチームのコーチをし、特に男子シングルスを中心に担当していました。その年月の中で日本人選手に必要だと考えた3つのことを話しました。これは世界レベルでの話ですが、将来そこを目指すプレーヤーや指導者にとっては重要となることです。そして、次のような提案で午前の部を締めました。
「世界ランキングでは以前と比較すると上位で維持できるようになったものの、男子単体種目でのオリンピックでのメダル獲得はいまだに実現できていない(男子シングルス、ダブルス)。この結果に対するフィードバックを明確にして、4年後、8年後の五輪に繋げていかないといけない。いまのU16やU19世代の育成が急務である。」
午後は、オンコートで、午前中の内容を具体的なトレーニング内容に落とし込みました。初心者から中級者までのプレーヤーに求められる能力の育成のためのトレーニングを具体的に行いました。
参加者からは次のような感想が寄せられました。
「新しい知識が得られた」「今回はプレーヤーを交えての講習会だったようでしたが、指導者だけの講習会より、実践を交えて行えるためとても良かったと思います。」「遊びや楽しい練習の延長線上に微細な技術が含まれていたり、ポイントになる部分があったりと感嘆しました。」「やはり定期的に自身のコーチングを振り返る、メンテナンスするためにも、指導者講習会は有意義だと感じました。」
来年度も、指導者講習会を行う計画を立てています。ご期待ください。
升佑⼆郎さん・吹田真士さん・中西洋介さん
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